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2018春ドラマ初回レビュー~『家政夫のミタゾノ』シーズン2~

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この『家政夫のミタゾノ』というドラマ、シーズン1がすこぶる面白かったので期待したが、ニッチな設定であるだけに、さすがに第2期となるとパワーダウンするのではという危惧もほんの少しだけあった。

しかしシーズン2の初回があまりにも完璧な滑り出しだったので、このレビューを書かずにはいられなかった。少しでもテレビドラマに期待感を持っている人には、手遅れにならないうちに観てほしいと思ったからだ。

いや別に、いろんな視聴手段がある昨今、いつ観ようと手遅れということはないのだが、こういう良質なドラマは正当にヒットしてもらわないと困るのである。良い作品がきちんと評価されなければ、やがて良い作品は生まれなくなる。できるだけリアルタイムで観ないと、作品の評価には繋がらないというのも事実であるわけで。

シーズン2初回は、言わずと知れた「家政婦モノ」のパロディとしての「家政夫モノ」であるにもかかわらず、なぜか壮大なロケット発射の場面から始まる。「なんだこれは?」と違和感を感じつつ観ていくと、やがてネジ工場の設定が出てきてようやくピンと来る。これはつまり、またしてもパロディなのだと。

このドラマの脚本家である八津弘幸は、TBS日曜劇場の大ヒットドラマ『半沢直樹』や『下町ロケット』の脚本を手がけた人だ。といってもそれらは池井戸潤の原作を下敷きにしていたわけだが、この『家政夫のミタゾノ』は彼のオリジナル脚本である。

となるとどうしても、「この人、原作つきじゃないと面白くないんじゃないの?」と疑いの目を向けられて当然の状況ではある。だがそこで八津弘幸は、むしろその疑念を逆手に取るように、『半沢直樹』や『下町ロケット』を思いっきり利用してみせた。もちろんロケット開発は『下町ロケット』のパロディであり、ネジ工場は『半沢直樹』で父親役の笑福亭鶴瓶がやっていたネジ工場を思わせる。

そもそもこのドラマの設定自体が『家政婦は見た!』のパロディであり、さらにはそのパロディである『家政婦のミタ』のパロディですらあるかもしれないのにもかかわらず、さらにその中に脚本家が手がけた作品のセルフパロディまでぶち込んでくるというこの蛮勇。

そしてそれら日曜劇場のパロディも、けっして今どきのアニメのような「パロディのためのパロディ」に終わるものではなく、すべてが有機的にストーリーへ絡んでくる。さらに『半沢直樹』や『下町ロケット』の感動ストーリーを完全にひっくり返して悪意剥き出しに描いたうえで、しかし単なる皮肉には終わらせず、ひねりにひねった上できっちり着地させるという離れ業を見せる。

走り方ひとつ取っても絵になる主人公・三田園薫のキャラクターの強烈さはもちろんのこと、この脚本レベルにおける遊び心は他の追随を許さぬほどに圧倒的で、むしろ「こんな才能の持ち主に原作をつけるなんてもったいない」とすら思わせる説得力に満ちている。インパクトだけでなく、完成度も非常に高い。

とりあえず今期のテレビドラマ全体を見渡しても、頭ひとつふたつ抜きんでている傑作である。毒性が強いため、深めの放送時間帯であることは納得できるが、それが作品の伝播力を弱めているとしたらもったいないとも思う。

だがこういう皮肉の利いた作品が万人向けでないのはわかった上で、しかしだからこそ方向性も毒性も関係なく、ただ良質であるという一点のみであえて万人に勧めたい一作。まずは一話目に脱帽と言うほかない。


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