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どぶろっくがようやく来た!…かもしれない…もしかしてだけど…。~『日10☆演芸パレード』2013/3/10放送回~

どうやらどぶろっくに風が吹いている。ような気がする。Maybe。

この日の『エンパレ』で、どぶろっくは輝いた。よくわからない番組内セレクションで優勝し、来たるべき2時間スペシャルへの出場権を得た。そして今日放送されていた日テレの、これまたよくわからない大雑把な総集編的特番でも、『エンタの神様』に出場したときのどぶろっくの映像がトリに使われていた。二日連続でこの露出っぷり。これはもう来てると言わなきゃ嘘なんじゃないか。嘘はつきたくないから来てると言おう。

彼らが最近披露している「もしかしてだけど」というネタは、間違いなく傑作だ。モテない男のどうしようもないポジティブシンキングを歌うその歌詞は、モテないという「ネガティブな現実」から寝返りを打った先に現れる「ポジティブな妄想世界」である。歌の後半に見せる80年代アイドル的なアクションも、現実逃避を加速する機能を果たしている。いや単に、その格好悪さが面白くて、しかしそれがなぜか格好よく見えてきてしまう、というだけなんだが、それって結構複雑だ。やっぱりここでも価値観の反転が起こっている。笑いというのは、そもそも価値観を反転させることで生まれる。

しかしなぜこのタイミングで、どぶろっくに風が吹いている(ように見える)のか?

『あらびき団』や『エンタ』に出ていた頃のどぶろっくの、最初のブレイクのきっかけとなったネタは、「女っつーのは」という歌だった。それは歌詞の内容が下ネタ全開であると同時に、文字通り「女」つまり「女性全体」のことを歌ったものであった。そこには「女なんて、しょせんこんなもんだろう」という、ある種揶揄するような視線が根底にあって、それはもちろん、元をただせばモテない男側の卑屈精神の反動として現れた強がりなのだが、やはり女性から見ると、ちょっと笑いに昇華しきれない気持ちはあったんじゃないかと思う。ネタとしては、すでにこの時点で抜群に面白くて、おぎやはぎが自らのラジオにわざわざ二人を呼んで歌わせたほどだったんだけれども。

それに対し、いまどぶろっくが歌っている「もしかしてだけど」は、もちろん下ネタが弱めでとっつきやすいとうのもあるのだが、主に男側の思考回路をストレートに歌っているというのが、「女っつーのは」とは決定的に違う。ここでもやはり、男の欲望の対象としての「女」は歌われているのだが、際だっているのは女のほうの行動よりも、むしろ「すべてを自分に都合よく解釈する」男の脳内のほうで、その卑屈さは主として外側つまり女性ではなく、内側つまり男性サイドの自虐へと向かっている。なので女性にも受け入れやすい、という空気があるのではないか。

そしてもうひとつ重要なのは、「女っつーのは」という歌が、どうしても「女性全体」を対象としているように響いたのに対し、「もしかしてだけど」には、個別のシチュエーションにおける、具体的な女性像が歌われているという点だろう。「女性全体」について歌われてしまうと、それを観ている女性客は、自分自身もそこに含まれてしまい、逃げ場を失ってしまう。自分もネタにされてしまう。

しかし「もしかしてだけど」のように、具体的な状況下にある女性を歌ったものであれば、それを聴いている女性客はそこに自分が含まれているとは考えず、うまくネタの外側から、ネタの中に歌われる状況を笑い飛ばすことができる。自分は例外だと思い込むことができる(本当はそんなことはないのだが)。実はこの差はものすごく大きくて、観ている側が「笑う側」にいるのか「笑われる側」にいるのかというのは、「笑う」か「引く」かのリアクションの違いと言ってもいい。特に客席に女性客を多く配置するテレビ収録の現場では、客席の女性たちを「笑われる側」からうまく逃がす必要が出てくる。そういう状況がいいか悪いかは別にして。

そういう意味で、どぶろっくはひと皮むけたというか、業界内でどうやらそう判断されてきているんじゃないかという雰囲気がある。ひと皮むけたどころか、どぶろっくはもう『あらびき団』の時点でとっくに面白かったんだけど、やっぱり実質的な面白さと、わかりやすさや受け入れやすさというのは別問題で、ここへ来てネタの精度を上げつつ女性にも受け入れられるキャッチーさを手に入れたというのは、かなりのアクロバティックな進化と言っていいんじゃないだろうか。

必ずしも面白いネタをやる人が売れるとは限らない。そんな現実はさんざん見せつけられているけど、やっぱり面白いネタは必ず受け入れられると信じたい。もしかしてじゃなくて。



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