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「2016夏ドラマ」傾向と対策

2016年夏ドラマのラインナップが出揃った。

例によって、プライムタイムはタイトルを見ただけで「恋」と「仕事」に二分できるのが最近の傾向。一方で深夜帯は「お金」がらみの作品が妙に多い。世相を反映しているのか、世相を先取りしているのか。そしてテレ東は得意の「グルメ」路線をかぶせてくるという、強気なんだか弱気なんだかわからない独特のフォーメーション。

タイトルから恋愛中心だとわかるのは、『好きな人がいること』『せいせいするほど、愛してる』『はじめまして、愛しています。』の3本。それにしてもこの3作の題名の、雰囲気の似通いっぷりはなんだろう。「恋」や「愛」といったストレートなワードを照れずに盛り込んだ、長く文章的なタイトル。その妙にポエティックな感触が、率直さというよりは、むしろ逆を突いた「あえての真っすぐ」を感じさせる。

ただしそういった「計算高いストレートさ」には実のところ大きなリスクというのもあって、それはストレートであるがゆえに、他と意味や言葉が「かぶりやすい」ということ。現に『せいせいするほど、愛してる』と『はじめまして、愛しています。』の2本は、タイトルがあまりにも紛らわしくなってしまっている。『せいせいするほど、愛しています』『はじめまして、愛してる。』――こうやっていったんシャッフルしておくと、さらに憶えにくくなるはずだ(誰も得しない努力)。しかし実際のところ、『はじめまして、愛しています。』は内容的には家族愛をベースにした「ホームドラマ」であるはずで、安易に恋愛ものと混同されると困るはずなのだが。

そしてもう一方のサイドにある「お仕事系」は今季、圧倒的多数を誇る。こちらは「刑事」や「異常犯罪捜査官」といった「職種」だけでなく、「営業部長」「料理番」「新入社員」といった「ポジション」を冠した題名が目につく。

さらには、感情的でポエティックなタイトルが並んだ恋愛系作品に対して、お仕事系の題名には、いずれも無機質で説明的な言葉が並ぶ。その点、『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』に関しては、「職業ものに詩情を加える」という両者の合わせ技一本を狙っているように見えるが、こういう場合は内容が散漫になり、「一挙両得」ではなく「虻蜂取らず」に終わる場合が多い。

息巻いてドラマ枠を立ち上げた前クール『OUR HOUSE』の散々な内容と打ち切りにより、文字通り「HOPE〜期待ゼロ」状態からのスタート。すっかり下がりきったハードルを、すました顔して跳び越えるのではなく、なにするものぞとなぎ倒してゆく気概が見たい。

――と、こうやって見ていくと、それら「恋」と「仕事」の2大ジャンルに当てはまらない題名のドラマが逆に気になってくる。『時をかける少女』はSFだがリメイクなので置いておくとして、残る『神の舌を持つ男』『仰げば尊し』『そして、誰もいなくなった』あたりは、一見なんの話だかわからないミステリアスな題名を持っている。

『神の舌を持つ男』は、タイトルだけ見ると『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』に近いグルメ路線かと思いきや、HPを見ると《ひょんなことから知り合った3人の男女が、一台のボロ車に乗り温泉宿で寝食を共にしながら、謎の温泉芸者「ミヤビ」を探し求めて日本全国を旅するコミカルミステリー》と書いてあり、どうも単純なグルメものではないらしい。

それどころか、主人公は《舌にのせたものをガスクロマトグラフィーばりに分析する能力を持つ》とも書いてあるので、題名にある「神の舌」というのが、食べることに使われるものなのかどうかもわからない。舌にもいろいろな使い方がある。

そしてルビーの指輪が主演する『仰げば尊し』。《弱小高校吹奏楽部を舞台に一人の男と生徒たちが起こした“奇跡の実話”に基づく感動の物語》とあるから、基本的には「学園もの」であり「教師もの」だと考えていいだろう。

ここは『半沢直樹』を生んだ、信頼と実績のTBS『日曜劇場』枠でもあり、主演もいぶし銀(&パルム)の寺尾聰となれば、設定がどんなに地味であってもとりあえず観ないわけにはいかない。

良くいえば今季もっとも謎めいた、悪くいえば最大限アバウトな題名を持つ『そして、誰もいなくなった』は、意味ありげなラインを狙った結果、意外とありがちな言葉を選んでしまった、というタイトルセンスがドラマ内容を暗示しているようでならない。

この日テレ『日曜ドラマ』枠、前クールは『ゆとりですがなにか』という名作を生み出したものの、あれはやはりクドカン脚本あってのもの。まだドラマ枠としての歴は浅く、そう簡単に良作を連発できる体制ではないのではないかと邪推。

というわけで、あまりにもストレートな題名を並べたてられた結果、個人的にはむしろ行間のあるタイトルに惹かれつつ夏ドラマを待つモードになっている。ただし『はじめまして、愛しています。』は、『家政婦のミタ』『○○妻』等を書いた曲者・遊川和彦脚本なので、要注目。


『好きな人がいること』(フジテレビ/月曜21:00~/7月11日スタート/主演:桐谷美玲)
http://www.fujitv.co.jp/sukinahitogairukoto/
『せいせいするほど、愛してる』(TBS/火曜22:00~/7月12日スタート/主演:武井咲)
http://www.tbs.co.jp/seiseisuruhodo_love/
『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(フジテレビ/火曜22:00~/7月12日スタート/主演:波瑠)
http://www.ktv.jp/on/index.html
『闇金ウシジマくん Season 3』(TBS./火曜25:28~/7月19日スタート/主演:山田孝之)
http://ymkn-ushijima-movie.com/
『刑事7人』(テレビ朝日/水曜21:00~/7月13日スタート/主演:東山紀之)
http://www.tv-asahi.co.jp/keiji7_02/
『家売るオンナ』(日本テレビ/水曜22:00~/7月13日スタート/主演:北川景子)
http://www.ntv.co.jp/ieuru/
『死幣-DEATH CASH-』(TBS/水曜24:10~/7月13日スタート/主演・松井珠理奈)
http://www.tbs.co.jp/DeathCash/caststaff/
『女たちの特捜最前線』(テレビ朝日/木曜20:00~/7月21日スタート/主演:高島礼子)
http://www.tv-asahi.co.jp/onnatokusou/
『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日/木曜21:00~/7月14日スタート/主演:尾野真千子)
http://www.tv-asahi.co.jp/hajimemashite/
『営業部長 吉良奈津子』(フジテレビ/木曜22:00~/7月21日スタート/主演:松嶋菜々子)
http://www.fujitv.co.jp/kiranatsuko/
『遺産相続弁護士 柿崎真一』(日本テレビ/木曜23:59~/7月7日スタート/主演:三上博史)
http://www.ytv.co.jp/kakizaki/
『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』(テレビ東京/金曜20:00~/7月22日スタート/主演:伊原剛志)
http://www.tv-tokyo.co.jp/yassan/
『神の舌を持つ男』(TBS/金曜22:00~/7月8日スタート/主演:向井理)
http://www.tbs.co.jp/ranmaru_tbs/
『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(テレビ朝日/金曜23:15~/7月22日スタート/主演:剛力彩芽)
http://www.tv-asahi.co.jp/gurame/
『侠飯~おとこめし~』(テレビ東京/金曜24:12~/7月15日スタート/主演:生瀬勝久)
http://www.tv-tokyo.co.jp/otokomeshi/cast/
『こえ恋』(テレビ東京/金曜24:52~/7月8日スタート/主演:永野芽郁)
http://www.tv-tokyo.co.jp/koekoi/story/
『時をかける少女』(日本テレビ/土曜21:00~/7月9日スタート/主演:黒島結菜)
http://www.ntv.co.jp/tokikake/
『徳山大五郎を誰が殺したか?』(テレビ東京/土曜24:20~/7月16日スタート/主演:欅坂46)
http://www.tv-tokyo.co.jp/tokuyama/special/keyakizaka.html
『仰げば尊し』(TBS/日曜21:00~/7月17日スタート/主演:寺尾聰)
http://www.tbs.co.jp/aogeba-toutoshi/
『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ/日曜21:00~/7月17日スタート/主演:中島裕翔)
http://www.fujitv.co.jp/hope/
『そして、誰もいなくなった』(日本テレビ/日曜22:30~/7月17日スタート/主演:藤原竜也)
http://www.ntv.co.jp/soshitedaremo/

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