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2016夏ドラマ『神の舌を持つ男』初回レビュー~迸る堤幸彦演出の「旨味」と「灰汁」~

「神の舌を持つ男」と言われて真っ先に思い浮かぶのは、やはりイジリー岡田と『ジョジョ』の花京院。そこに主演・向井理と聞いて、「その二人に比べると“レロレロ感”が弱いな」と勝手に思ったのは事実だが単なる難癖とも言う。

――など言いつつ、その二人を擁さずとも十二分に「クセが凄い」(ⓒ千鳥ノブ)のがこのドラマ。その理由は主演云々ではなく、とにかく曲者「堤幸彦演出」の一点に尽きる。

とはいえ、『トリック』や『池袋ウエストゲートパーク』でお馴染みの堤幸彦マジック。もちろんその「クセ」は、少なくとも上記作品ファンにとっては「願ってもない旨味」であるはずだ。しかしその「クセ」が、全部が全部「旨味」になるとは限らない、その一部分は「灰汁」として、食するに値しないと判断され除外されてしまうこともあれば、素材の味をすっかり消してしまう場合もある。

向井理のとぼけた演技と、木村文乃の前のめりな饒舌、そして佐藤二朗の微に入り細を穿つツッコミ。ドラマオリジナル作品であるにもかかわらず、いずれも漫画原作ドラマのレベルにまでデフォルメされている。

そのあえてのオーバーアクション&リアクションでテンポを作っていくのが堤演出の特長、と言えなくもないのだが、それにしても今回は、デフォルメされた言動と圧倒的な台詞量により物語が掻き消されていく感触が強い。

そう思って改めて『トリック』の初回を引っ張り出して観直してみると、もちろん要所要所でデフォルメは効いているが、ここまで「常時誇張されっぱなし」では全然ない。シリアスとコメディの配合比率があまりにも違う。全体がシリアスであるからこそ、デフォルメの効いたコメディ演出がピンポイントで輝きを放っている。

たとえば「クセは強いが抜群に旨い納豆」があったとして、料理の一部としてそれが出てきたら、むろん美味しくいただく自信がある。しかし名産地にありがちな手法として、さらに「納豆ゼリー」や「納豆ソフト」、果てには「納豆サイダー」あたりまでその旨味が応用されお膳が埋め尽くされたとしたら、とうてい平らげる自信はない。

個人的には「抑制」よりも「過剰性」をこそ愛している。ただそれはもちろん、すべてにおいて過剰を貫けば良いというわけではなく、やはり効かせどころというものがあるらしい。

初回視聴率は6.4%。今回は堤演出の「クセ」を「旨味」ではなく、「灰汁」と受け取った人が多かったということだろうか。とはいえ個人的には好きなタイプの「クセ」なので、適切な配合比率と精度さえあれば、その「旨味」は生かされるはずだと期待している。いまのところ共感するのが難しい主人公の動機にこの先深味が出てくれば、グッと物語の重心が動いて、「クセ」も効果的な落としどころを自動的に見つけるのではないか、と。

【『神の舌を持つ男』HP】
http://www.tbs.co.jp/ranmaru_tbs/
【『神の舌を持つ男』第1話/TBSオンデマンド】
http://www.tbs.co.jp/muryou-douga/top.html

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